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2019年3月の記事一覧

Oxbridge研修2019報告⑥

◆現地第6日目:318日(月)

<ケンブリッジ大学学生とのセッション:「エンパワーメント・プログラム」>






<最終プレゼンでの上位評価者>


<ケンブリッジ生からのプレゼン>



<ケンブリッジ生とのディベイト!>












<感謝のコメント>






以下、現地六日目の報告です。

 いよいよOxbridge研修最終日、もちろん生徒たちは遅れることなく、朝800分に食事会場に集合しました。現地でのプログラムは正味5日間ではありましたが、緊張のなか到着したBerkshire College、そして歴史とそのスケールに圧倒されたロンドン市内見学、我々ですら一週間以上前の出来事に感じるほどに、中身の濃い5日間であったのでしょう。そして、体調不良者なく、元気に最終日を迎えられたこと、すべてのプログラムに全員が臨めたことは、本当に何よりでした。

昨日晩のミーティングを受けてか、カフェテリアではグループリーダーへはもちろん、一般の学生へアタックする姿も見られ、個々に「やり残さない」の実践が始まっていたようです。

 

さて、朝900分、「エンパワーメント・プログラム」後半(二日目)のスタート前、新たなケンブリッジ大学生の紹介がありました。公共政策を学ぶ、イギリス出身のJacobMr)、実は事前の情報なく急な参加であったのですが、もちろん人数が増えることに何の文句も問題もありません。自己紹介ののちグループの一つに加わり、早速にセッションが始められました。

 

午前のセッションでは「リーダー像」をテーマに意見交換を実施、それぞれに研修を通して見えたリーダー像、あるいは自分の目標とする人物、そして本プログラムでリードしてくれる学生らをまさにロールモデルに、個々の考えを発表しました。色眼鏡的な見方が入っているかもしれませんが、昨日より全体的にぐっと熱を帯び、それぞれのグループでのセッションにも前のめり感を感じます。個々に、最終日への思いをもって臨んでいることは間違いないのでしょう。

 

セッションの最後は一人ずつのプレゼンテーションです。アドバイスを受けた構成方法、抑揚や間の取り方、効果的なジェスチャーなど、印象に残るような発表テクニックをそれぞれに活かしながら、発表が行われました。ケンブリッジ生を前に、そして27名の仲間を前に、当然かなりの緊張をしていた生徒も少なくなかったですが、その内容には、過去の自分と今の自分、そして将来へ、と本プログラムを経験したからこそ見えてきたであろう、自分自身へ思いやメッセージが込められており、いずれも聞きごたえのある素晴らしいものでした。

 

夕食を終えると、いよいよ最後のセッションです。生徒たちの一生懸命な取組みと、ひたむきな姿勢を受け、学生からもリアクションの意味と生徒らの将来へのエールを込めて、全員からプレゼンテーションをいただきました。急な依頼でしたので、口頭にて数分程度で十分、発表の仕方はもちろん、個々のゴール設定とそのためのアクションをうかがえるだけでも生徒たちには間違いなく大きな刺激に・・と思っていましたが、その想定をはるかに超えるものでした。おそらくは15分ほどしかなかったであろう休憩時間のなかで、『My Journey』を共通テーマに作られたスライド資料(まさか15分で・・と驚くような仕上がり、情報挿入)を使い、自らのバックグラウンド、幼少期及び高校時代への言及からケンブリッジへの経緯、そして研究や学びに対する今の思いと将来のゴール、とその明確かつ志高いメッセージに、強烈なインパクトを受けたことは言うまでもありません。学生らからのコメント(生徒のプレゼンに対して)にもありましたが、プレゼン時に最も大事なことの一つである「自信」、いずれの学生からも当然感じられるものでしたが、発表の慣れ(回数的な)のような表面的なものではなく、これまで志高く相当な努力で自分の道を切りひらいてきた経験からの自信なのであろうと感じました。

 

そして、もう一つ本当に最後のプログラムが行われました。何と生徒たち自らが直談判をして設定することができた「ディベイト」です。ケンブリッジ生とのディベイトなど、これ以上ない経験となることは間違いないでしょうが、単に思い出だけでは意味がありません、本気で論破する気持ちで臨むことを全員の共有として行いました。数名の生徒は、なんと先日買ったばかりの「Oxford」のスウェットを着用、その気概が伺われました(笑)。テーマは、高校における「男女共学システム」の是非、についてです。前高生27名対ケンブリッジ生5名という圧倒的な不均衡(不平等)のもとスタートすると、反対派となった生徒たちから早速の陳述がなされ、それに対してケンブリッジ生の即座の返し、当然理路整然と伝えられる根拠に生徒たちは押されつつもさらに次の陳述、そして徐々に高まる前高生の一体感、これまでで一番のチームワークであったかもしれません。もう手を挙げることに、意見を伝えることに臆している様子などはほとんど見られません。40分程度という制限のなかではチャレンジ、またケンブリッジ生らにとっては経験をさせてあげたい、程度の認識であったかもしれませんが、それでも夢のような時間を過ごすことができたこと、何よりは自分自身の思いとアクションで最後のクロージングにふさわしい機会をつくることができたこと、終わった後の満足げな表情から伺うには十分でした。学生との別れを惜しみながら、全てのプログラムが終了となりました。

 

いよいよ明日、帰国の途につきます。「生き様研修」としてどれだけの成果があったのかは、現時点では分かりませんし、多くの生徒が、恐らくは全員が課題を抱えて帰るのだと思います。しかし、課題や後悔であったにしても、本プログラムに参加でき、そして参加しただけでなく個々にチャレンジしたからこそ見えた、突きつけられた課題であると思いますので、間違いなく大きな価値があることでしょう。明日朝515分、全員が無事に集まることを祈ります。

Oxbridge研修2019報告⑤

◆現地第5日目:317日(日)

<ケンブリッジ大学学生とのセッション:「エンパワーメント・プログラム」>












<ケンブリッジ大学学生とのセッション:ディベート>









<ミーティングの様子>






以下、現地五日目の報告です。

 朝850分、本日も全員元気に食事会場に集合(もちろん遅刻はありません)。本日日曜日は、通常より1時間遅い9時にカフェテリアはオープン。当然おなかをすかせた生徒たち、その無言の圧力がカフェスタッフにも伝わったのでしょう、3分ほど早く誘導してくれました。さらに、午前のクラス開始は930分、昨日に続いて正味20分という理不尽極まりない状況にも文句を言わず、まるでホテルで提供されるかのようなイングリッシュ・ブレックファスト(
スクランブル・エッグ、目玉焼き、ベーコン、ソーセージ、焼いたトマトとマッシュルーム等・・・前半に比べると豪華にすら感じます。)もしっかり味わえなかったでしょう、まさにかきこむように食べ終えると、後半二日間のハイライトとなる「エンパワーメント・プログラム」へと臨みました。

 

教室で待っていてくれたケンブリッジ大学の学生たち、本日も1名のキャンセルが伝えられていましたが、早速に代わりの学生手配が間に合い、予定通りの5名が来てくれたのは本当に良かったです。

 

さて、準備を整えた生徒たちが席に着き、学生リーダー同士の簡単なブリーフィングを終えるとすぐに、セッションはスタート。5名の学生(HogaiMaximilianMaxEmily、そして昨日も来てくれたDanielMaggie)からの軽快な自己紹介と二日間の目的共有に、生徒たちの気運も高まり、この3日間で得た成果の一つなのでしょうか、英語スピーカー風のぎこちないリアクションを返す様子がまた微笑ましいものでした。

 アメリカ出身で英文学を専攻するHodaiMs)、ドイツ出身で心理学を学ぶ
Maximilian(通称Max /Mr)、で国際政治を学ぶMaggieMs)は中国出身、そして数学と物理を学ぶDanielMr)と考古学を学ぶEmilyMs)はともにイギリスの出身です。Hodaiは元小中レベルの教師の経験もあり、生徒へのわかりやすい投げかけ、アテンションを引く話ぶりは抜群で、彼女を中心に、しかし都度パートを担当するリーダーはローテーションしつつ、午前のセッションが進められていきました。誰が担当しても、あるいは急にふられてもすぐに場の流れや雰囲気を汲んで対応、適応できる力、関心を引く話題提供、注意を引き寄せる話ぶり、グループ内で意見をまとめ誘導する力、そして笑いをしっかり交えるセンス、あまりに自然に進められるため生徒たちは感じていないかもしれませんが、このような“振る舞い”にこそ、リーダー像を見てほしい、考えてほしいと強く感じます。

 

 1245分からの昼食(45分程度)をはさみ17時まで、終始スピーキングトレーニングを軸に、プレゼンの構成指導、力強く伝える方法やコツ、そして実践的なディスカッションや随時なげかけられる質問、そしてアウトプットを繰り返しつつ、その熱気は徐々に高まっていたように思います。夕食後のセッション(1時間)では、ディベートの実践。本日一番、もしかするとイギリスに来て最も頭をフル回転させたのではないでしょうか、多くの生徒が考えや理由を(論理的に)伝えきれず、まさにもがく姿、しかし一方でチーム全体が協力してのめり込んでいる様子は、輝いていました(表現おかしいかもしれません、とても生き生き、そして真剣にということを言いたく・・)。

 

 また、前半では将来の目標(数年先の短期的なもので、かつ具体的に)について、その達成プロセスをテーマに各自短い原稿()を作成しました。最終的にはこれの発表へと持っていくながれです。最終発表で伝える内容が、この二日間のセッションを通してさらに肉付けされたり、あるいはより明確に、イギリスで学んだ、経験した色々な思いが加味されて骨太なプレゼンになることでしょう。

 

 出身や専攻、かれらのバックグラウンド同様、個性豊かな5名の学生たちとの二日間、終えればわずかな時間であったと感じられるかもしれませんが、間違いなく密度の濃い、多くのものを得る(正確には獲りに行くでしょうか)時間になるはずです。帰国後につなげるために、生徒たちが出し惜しみなくやり切ってくれること期待します。

 

尚、夕食後の学生との最終セッションを終え、本日のあるいは本日までの振返りを実施しました。基本生徒たちが自由に、しかし「生き様研修」として有意義に使う時間ということで冒頭、「明日がプログラム最終日、学生に感謝の気持ち(スピーチ)と小さなプレゼントを送ろう、では誰か?」と2年生二人からの投げかけに、半数近く(少し言い過ぎかもしれませんが、そのくらいの勢い)が挙手。最終的にはジャンケンで決めたようです。

 

 その後に、研修の振返りを実施。しかし、反省ではなく、明日につなげる前向きなコメントにしたい、ということを事前の共有として進められました。研修での学びを絶対に生かさなくてはいけないこと、ここで得た自信、ゲストの方々から得た貴重なアドバイスを糧に・・などのコメントが続きました。前向きな、が前提でしたので、その通りの進行でしたが、コメントが続いていくにつれて、いくつか印象的な言及がありました。「最初の二日間、自分は研修としてもリーダーとしても逃げていた~中略~この研修に多くの後輩を参加させたい。自分たちはどうすべきか(帰国後)も考えるべきだ」、「正直前に出る人たちを冷ややかな目で見る自分がいた。しかし、その自分が27人のなかで本当に小さく、力がなかったこと、痛感している・・・」、そして「自分は前半まるで空気と同じだった。悔しい思いが多いが、明日は絶対にやり尽くす」、「27人で来ている研修の意義、これも大きな財産。終わっても影響しあい、つながっていたい」。もちろん、前向きなコメントを述べてくれた生徒は「これからこそが・・」という強い思いをもってのコメントであること承知ですが、やはり自分に向き合い勇気を出して伝えてくれたこのようなコメントには我々もぐっときます。

 

 上記に書ききれませんが、明らかに何かを変えようという、あるいはこのままでは・・という多くの生徒の行動や表情が、色々な場面で目に入ってきます。誰かが言っていましたが、「やり切る!」、明日はこのことばに集約されるのでしょう。

Oxbridge研修2019報告④

◆現地第4日目:316日(土)

Berkshire College出発>




<ケンブリッジでの研修>  ・・いたるところこのような街並みです。




<ケンブリッジでの研修  学生とのツアー>






<ケンブリッジ生とのセッション>




<ミーティングの様子>



以下、現地四日目の報告です。

 朝730分、本日も指定時刻前に全員の点呼完了。週末であること(大学カフェの休日運営スケジュール)、そしてバス出発時刻の都合から、朝食にかけられる時間は“20分“という前日のアナウンスに、むしろ食べられなくなる・・という危機感からの素早い集合であった生徒も数名(笑
)おったようです。理由はともあれ、元気に顔を見せてくれたことは、本当に何よりです。生徒たちの自己管理・体調管理には我々からも感謝をしつつ8時ちょうど、後半戦の舞台となる「Cambridge」へ向けて、バスは走りだしました。


 出発前、お世話になったディレクターのAuriol
最後まで、誰もしっかり発音できませんでした・・)、アクティビティー担当でいつも付き添ってくれた(後半も帯同してくれますOliver、そして父親のようにいつも生徒たちの様子をあたたかく見守っていただき、毎晩エネルギッシュな英語レッスンを通して生徒への熱いメッセージとエールをなげかけてくれたChrisに対し、生徒を代表して2年生阿部くんより感謝の挨拶がありました。


 2
時間弱の移動ののち、バスはケンブリッジエリア(
カレッジの多くが所在する中心部からは徒歩15分ほど)のKaetsu Educational & Cultural Centreに到着。出迎えていただいた我々のケアを担当いただくPeterさんよりWelcomeの挨拶と簡単な施設紹介をいただくと、早速にケンブリッジ中心部へと徒歩にて出発いたしました。


 Kaetsu
(嘉悦)教育文化センターは、教育プロジェクト、国際会議、コンサートや公演、展覧会など、多目的な利用と、日英の教育・文化交流の場を主目的(
当センターWEBページより引用)して、1994年ケンブリッジ大学群の一つであるマレイ・エドワーズ・カレッジ敷地内に建てられました。


 ケンブリッジエリア中心部指定場所に到着すると、すでに5名の学生が我々を待っていてくれました。イタリアやフランス、ベルギーなど、出身国もさまざま、これまで出会った人たち同様に、彼らの素敵な笑顔とフレンドリーさは、生徒たちの緊
張も和らげてくれたようでした。各グループ内にて相互に自己紹介を行うとすぐ、まさに映画の撮影セットにいるような街並みのなか、カレッジ見学へと出発いたしました。

 2019年のTimes HigherEducation World University Rankingsでは第2位、言うまでもなくオックスフォードと双肩する英国が誇る世界トップレベルの大学です。オックスフォード同様にイギリス伝統のカレッジ制(31のカレッジで形成)を採用しており、各カレッジでは「スーパービジョン(Supervision)」と呼ばれる少人数制の授業が行われ、高い教育レベル・質を保っているとのことでした。ケンブリッジでもっとも美しいカレッジとしても有名な「クイーンズ・カレッジ(1448年にヘンリー6世の王妃が設立)」、敷地内にある幾何学的なデザインが美しい「数学橋」も観光名所です。1546年にヘンリー8世設立、アイザック・ニュートンが学び、そしてノーベル賞受賞者を最も多く輩出していることで有名な「トリニティ・カレッジ残念ながら万有引力の法則を発見するヒントになったりんごの木の子孫は見られませんでした。)」など、学生の説明からうかがう歴史や背景だけでも圧倒されるに十分でしたが、美しく、カレッジごとに特徴的な建築様式、外観、その佇まい全体の荘厳さにまさに目を奪われながらの約1時間、大学生の説明にもしっかりと耳を傾け、時折質問もトライしながらのキャンパスツアーはあっという間に終了となりました。


 手配された昼食(サンドイッチ等の軽食)をさらっと流し込むと、生徒たちの多く(やはり理系の生徒ですね)が楽しみにしている「
Cambridge Science Festival」へ。今年は3月11日(月)~24日(日)の約2週間開催、ケンブリッジ市内いたるところに設置されたブースにて、
参加型化学実験を楽しく体験させてくれるイベントです。ガイドさんからの諸注意とオススメブース情報を入手すると、経路を確認、研修前に調べた情報を加味しつつ、ケンブリッジの街に散っていきました。ケンブリッジ大学のカレッジや関連校で大学教授の講義を聴講したり、機械工学物を組立てたり、科学の実験を体験する事ができる(
内容によって事前予約要このフェスティバルですが、ここ数年はブースの多くが大学キャンパス内から市街地域に移動され、それにともない、対象年齢が下がっているようです。より若い年齢、子供たちに科学の楽しさを!ということが一番の目的となっていると思いますが、戻ってきた生徒たちからも、「楽しかったけれど・・」というコメントも少なくなかったようでした。ともあれ、ケンブリッジでの贅沢な一日は素晴らしいお土産となったことでしょう。数時間歩き回ったはずですが、その足取りは軽快に、宿舎へと戻りました。


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時、夕食会場に入ると、“カレー”
・・なんと素敵な響きでしょうかが準備されていました。当センターには、日本人の厨房スタッフ数名が働いていらっしゃり、生徒たちのためにと特別メニューをふるまっていただいたとのことでした。当然テンションの上がる生徒たち(そしてもちろん大人も)、Berkshireでのある意味“忍耐”生活との違いに、むしろ懐かしさすら感じながら、束の間懐かしい味に舌鼓を打ちました。


 さて、食事を楽しんだのち、すぐに夜のセッションが始まりました。来てくれたのは、Danielくんと、Maggieさん、もう1名参加予定の学生が研究の都合にて急遽来られなくなったのは残念でしたが、明日から二日間実施する後半のハイライトプログラム「Empowerment」への準備として、Q&Aでの相互理解(アイスブレイク)、Empowermentプログラムの目的や大まかな進行について、およそ1時間のセッションを行いました。夕食も共にとってくれた彼ら二人は、明日からのメインセッションにも参加してくれます。

 さて、本日のプログラム終了後、ミーティングの時間を設けました。振返り、明日以降への準備、あるいは皆での討議など、解散前のおよそ1時間は、生徒たち自身で使うことができる(研修として皆が意義あるものにすること共有認識)こと、昨日になげかけておりました。議題は、夕食後のセッションの最後に議論が生じた「前高生によるプレゼン」についてです。本プレゼンを実施する理由、目的(UCLでのセッションにお越しいただいた岡本氏の言葉をお借りすれば『本質』は・・)について、生き様研修としての本研修の意義含めて深く考えてもらうために、なげかけさせていただきました。小林(ゆ)くんの意見(→日本で準備したプレゼンは、今回実施せず、むしろケンブリッジ生徒のセッションの時間にあて、より充実させたい)を皮切りに、多くの意見(同意、反対)が繰り返し交わされ、到底時間が足りなくなるであろうことは想定通り、決定は明日となりましたが、彼らそれぞれのことばに“思い”であるとか、“熱意”、が感じられたことが、ひいては本研修への意識を更に高める意味で、この時間の一番の意義であった、と感じました。しかし、苦言を呈してしまうようですが、この時間を何に使いたいか、使うべきか、事前の相談や生徒同士の話もなかったことは残念ではありました。とはいえ、何かが進む機会になったこと期待します。


Oxbridge研修2019報告③

◆現地第3日目:315日(金)

<オックスフォード大学群見学 クライストチャーチ・カレッジ前にて>



<オックスフォード大学群見学>









<オックスフォード大学 学生とのセッション>



<夕食後の英語クラス Chris先生による 3/143/15







以下、現地三日目の報告です。

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50分の指定時刻前、余裕を持って全員が集合。本日も元気に朝食を摂り、研修がスタートいたしました。6時前、朝早くから物音が聞こえるなと思っておりましたが、数名の生徒たちはスペイン生徒たちの出発の見送りに行ったとのこと(時差ボケで毎日5時前に目を覚まして・・という生徒も多く、活動を始めるにむしろちょうどよかったようでした)。

 さて、朝食を食べるとすぐにバスに乗り込み、オックスフォードへと出発。38の独立したカレッジ(加えて6つのホール)から構成される同大学は、現存する大学では世界で3番目、イギリス国内はもちろんですが英語圏で最も古い大学です。25万人を超える卒業生の中には、26人のノーベル賞受賞者、100人以上のオリンピックメダリストも輩出。歴代イギリス首相の内なんと26人が同大学を卒業しているとのことでした。ここ数年、日本の大学ランクの動向でも注目を集めている世界大学ランキング
Times Higher Education17-19にて、3年連続してNo.1の評価を得るなど、もう一つの名門ケンブリッジ大学とともに、言うまでもないですが世界トップの大学です。

 ドイツとチェコ出身の2名の現役学生に迎えられ、大学概要の説明が終わるとすぐにキャンパスツアーへ出発。ほぼ街全体がキャンパスというような広大なエリアに点在する38のカレッジのうち、数か所のカレッジやホール、図書館などを2時間ほどにわたり案内
いただきました。哲学者ジョン・ロック、「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロルなどが教鞭をとり、アインシュタインも一時期学んでいた、恐らく最も有名な「クライストチャーチ・カレッジ」(
ハリーポッターの撮影に使われた、ダイニング・ホールと階段がある)、オックスフォード最古のカレッジを争う3校の一つ「マートン・カレッジ」、ヒース元イギリス首相、皇太子妃雅子様、マイケル・サンデル教授などが学んだ、やはり最古を争う3校の一つである「ベリオール・カレッジ」、卒業式や大学の公式行事の多くが行われる「シェルドニアン・シアター」など、その歴史と重厚なたたずまいに圧倒され、終始感嘆の声をもらしつつ、カメラを押す手は止まることがありませんでした(大丈夫です、学生ガイドの話にもしっかりとくらいついていました)。

 

 午後は、本日のハイライトとなるオックスフォード大学現役学生との懇談、及び質疑を中心としたセッションを実施。1時間30分ほどの間、英語でのセッションは前高生といえども相当な負荷となるかと思いましたが、全く心配には及びません。ローテーションにて代わる代わる席についてくれる学生たちへの質問とメモを取る手は止まりませんでした。一方、「質問をしても、その回答の半分も理解できず、強烈に悔しさ感じながらも、半ば適当でもメモを取っていた」というある生徒のコメントもまた印象的でした。

 合計8名(上記ガイドしてくれた学生2名含め)の学生の中には、3名の日本人、そしてなんと皆の先輩(前橋高校出身)がいらっしゃったのです。
急遽参加が確定したため、我々も事前情報なく、また当の本人もまさにセッションをはじめたその場で我々が前高であることを理解するというこの上ないサプライズも生徒たちのモチベーションを更に高めたことは言うまでもありません。日本人の学生(3名)だけでなく、他2名も流暢な日本語を話すことができたのですが、前高生は終始全員が英語での質問(なげかけ)を貫いていました。深まる質問や学生からの丁寧なアドバイスにおいては、時折日本語を交えて話していただけたことで、その理解度、インパクトはより強いものとなったと感じますし、むしろ非常に有難いものでした。終了後の生徒たちの興奮冷めやらぬ表情、解散ぎりぎりまで学生に質問とアドバイスを求め、半ば引き離されるように会場から連れ出された
バス手配の時間から我々も止む無く・・であること、一応お伝えさせていただきます多くの生徒の姿に、昨日のゲストセッション同様、心ゆさぶられる時間であったことを、感じました。また、これも昨日同様ですが、誰かの質問にのるだけ、聞くだけ、自分からのなげかけが少ない、あるいはできないことへの葛藤と焦りの様子も垣間見え、全員にとって有意義ではあったことは間違いないですが、ある意味「自分自身」を見つめる機会にもなったはずです。その後、わずかな時間でしたが、しっかりと大学ブックストアにてお目当てのグッズを手にし、更に満足の表情を浮かべてバスへ。一路Berkshire Collegeへと出発いたしました。

 さて、夜のセッション(昨日、本日ともにChris先生によるスピーキング&コミュニケーション・トレーニングを実施)の後、いよいよ明日からはCambridgeへ研修の舞台を移すこともあり、折り返しの重要なタイミングとして、ミーティングを実施しました。遅刻や怠慢な行動、そして大きな体調不良もなく、しっかりと自己管理をしていることは、彼らが意識高く常に集中して日々の研修に臨んでいる証でありますが、一方で与えられた研修プラン、時間をなんとなくこなしているような、停滞感のようなものを感じてもおりました。もちろん、本日午後のセッションで記載したように、個々に頑張っています。しかし、校長先生の言葉にありました「日々(高く)設定した目標と、それを達成する(成長への)アクション」、そして「貪欲に」・・。特に後者について、本来できるレベルのことをやって満足していないか、設定したレベルはそれでいいのか、を皆でそして個々に問い直す時間に・・というのが会設定の理由でした。その後、ミーティングの進行は生徒にまかせ、40分ほどと十分ではなかったかもしれませんが、チームの仲間にチャンスを創出してもらった自分、積極的と言いながら程遠い自分の行動への言及、一方で多くのゲストとのセッションから得た強烈なモチベーションを必ず行動に変える、明日からより高いレベルを意識、など互いの意見から現状の自分を確認し、後半に向け、そして研修後に向けて、思いを強くする機会になったのではないかと感じます。

Oxbridge研修2019報告②

◆現地第2日目:314日(木)

<ロンドン市内見学  バッキンガム宮殿>


<ロンドン市内見学  トラファルガー広場>



<ロンドン市内見学  大英博物館>




UCLキャンパスにて 紅林先生、岡本氏とともに>


UCLでの講演会>






<夕食時の様子  スペイン生徒たちとの交流>












以下、現地二日目の報告です。

740分、全員元気に朝食会場に集合。830分のバス出発予定にて、また長時間のフライトの疲れから初日の万一を考慮し余裕を持って(朝食開始の20分前)の集合といたしましたが、心配には及ばず皆5分前には元気な顔を見せてくれました。

イギリスならではのこんがりとかために焼いた薄いスライスのトーストとシリアル、スクランブルエッグとジュースをながしこみ、830分過ぎ、バスにてロンドン市内へと出発いたしました。

 

ある程度想定はしていたものの、やはり世界に誇る巨大都市ロンドン。渋滞税(TrafficCongestion Charge)のシステム導入後は、かなり緩和されたと言われるものの、やはり市内へと近づくに連れひどくなる渋滞に巻き込まれながら、およそ45分ほどの遅れにて最初の見学地「バッキンガム宮殿」に到着。エリザベス女王がいらっしゃる(サインである旗が掲揚)ことを聞き、何となくの感嘆の声を挙げつつ、徒歩にて次の目的地へ。レンガや石造りの歴史ある重厚な建物群に圧倒されつつ、時折見える石畳や美しい都市公園、横を歩く馬車、ダブルデッカーバスや名物ロンドンタクシーなど、まさにイメージ通りのロンドンの景色に目を奪われつつ歩を進めると、ほどなくしてウェストミンスター寺院が見えてきました。そして、その奥にはロンドンのシンボルと言えるでしょう、英国国会議事堂の大時計(ビッグベン)が・・しかし、21年までの改修工事にてその姿は残念ながら見えず、教科書に出ている写真のイメージを重ねあわせながらさらに歩を進めました。首相官邸(ダウニング10番街)、外務省を過ぎ、ロンドンアイやテムズ側を遠くに眺めつつ、次の見学地「トラファルガー広場」へ。バス降車時点では青空が顔を覗かせ、あたたかさすら感じてまさに「意気揚々」と歩をすすめるうち、冷ややかな風とともに小雨がぱらぱらと・・程なくして小型の台風かと思うぐらいの風と強い雨に傘も役に立たないほどに。しかし、トラファルガー広場に到着後、バスを待つ間には、なんと空一面の青空に。これもイギリス(ロンドン)ならでの体験でしょう、ロンドン塔、セントポール教会は残念ながら立ち寄れませんでしたが、むしろロンドン市内散策に印象を残してくれました。

 

さて、バスの車内にてまさに流し込むように昼食(サンドイッチ等の弁当)を取ったのち、バスは大英博物館へ。およそ700万点以上を収蔵(うち常設展示は15万点ほど)するとされる、まさに世界トップクラスの規模を誇る当博物館では、とくに展示が充実しているとされる古代エジプトや古代ギリシャ、ローマ時代を中心に、ロゼッタストーンやミイラに代表される考古学的に貴重な出土品、美術品、そして忘れてはならないミュージアムショップでの買い物、と与えられた1時間30分では膨大な展示物のほんの一部を垣間見る程度ですが、生徒それぞれ楽しみにしているフロア、展示物へとまさに一目散でした。

 

その後、博物館から10分ほど歩き、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンUniversity College LondonUCL)へと向かいました。出迎えていただいたのは、ケンブリッジ大学にて物理学博士号取得後、ここUCL電子工学科にて講師として教鞭をとられている紅林先生、そして同じくケンブリッジ大学にて物理学博士号取得後、オクスフォードでは日本語学修士号取得、現在は地元鹿児島にて起業家(NPO法人「Glocal Academy」設立)として活躍をされている岡本先生、昨年に引き続き両名にお越しいただくことができました。

 

紅林先生からは、ご自身の決して優等生ではなかったと仰る高校時代までのご自分、さらには大学受験の失敗(決してそうではないとは思いますが、あくまでご自身の当時の目的からのコメントです)や、さらに道を見失いかけていた大学時代への言及から現在に至るまで、大きなターニングポイントとなる数々のアクションや当時の考え方は、これから受験と進路を考える生徒たちにはとても大きなアドバイスになったことでしょう。同時に、経験した失敗や後悔、そしてその背景にあった数々の挑戦、「Comfort Zone」から飛び出すことの意義について、「成長」のことばとともに投げかけていただいた時には、生徒諸君の受験や将来だけでなく、まさに今参加している研修の意義、そして初日を終えた自分自身のアクションについて考える機会になったものと感じます。到底本報告書で書ききれるものではありませんが、強く印象に残ったことばの一つとして、「Why do we have to hire you?」を挙げさせていただきます。ご自身、現在に至るまでのチャレンジと挫折が成長の糧として強調され、ケンブリッジ卒業と現職への誇りを伝えていただけた一方、「肩書」は何の意味もないと断言。真意は、「あなたは今何ができるのか?」と問われたとき、なんと答えらえるだろうか。「リスクを恐れてあるいは結果を想定して何もしないことが最大のリスク」、「困難であっても、成長や挑戦の選択肢を常に選ぶ自分になってほしい・・」とのことばもいただいたのち、生徒たちの雰囲気がぐっと変わったように感じました。

 

すでにおなかいっぱいというほどの御馳走(語弊がありましたら申し訳ありません)でしたが、まだまだ続きます。紅林先生からは、ご経験からの生徒目線でのアドバイスを多くいただいた一方、岡本氏からは、若くしてビジネスの第一線で活躍されている視点・考え方から、これからの社会と必要な人材(資質)、そして自分自身で道を拓くための大きなヒントと強烈な後押しをいただいた、というような時間であったと感じます。まず、慶応大学、同大学大学院博士課程卒業、そしてケンブリッジ大学博士課程、オックスフォード大学での研究過程を経て、と誰もが憧れるような肩書きからは、活躍の場はここイギリス、いや世界をまたにかけて・・(小職の稚拙の考えですが)、しかし敢えて地元鹿児島選んだとのことでした。理由は、“誰かがやっていないことに敢えて挑戦する”という強烈に志の高いポリシーの元、「世界のどこにいても、世界にインパクトを与えることができる」ということばに生徒たちの視線はさらに上がり、一気に前のめりになったと感じました。現在代表を務めるNPO法人では、「社会や学術における諸課題を研究的手法を用いて解決する事を目的とし、後進の育成やそれらの課題に取り組む個人及び企業・団体支援<東洋経済 ONLINE本人記載のプロフィールより>」を目的に、精力的に活動。一つのハイライトとして、国連担当官、UCLの副学長はじめ、高等教育、公的機関、民間企業の有識者等内外から多くのゲストを招き、地元鹿児島で毎年開催(今年第4回)を数える「高校生国際シンポジウム」での精力的、かつ明確な目的と使命を掲げた、青少年育成への思いとその活動が印象的でした。本日のセッションでなげかけられた右記テーマ(※いずれも東洋経済 ONLINE 201516年投稿記事)「日本は“格差社会”である前に“階級社会”だ」、「日本の大学入試改革は、なぜ迷走するのか具体性のない“マジックワード”は危ない」、「日本に足りないのは“ローカル”エリートだ!グローバル『以前』の"エリート"の条件」をディスカッションのネタに、生徒へたたみかけるような質問、意見を求めつつセッションは進められていきました。岡本氏のバイタリティ溢れる話しぶりと、何より熱意に、いつしか、生徒たちもこの二日間で見せたことのないような雰囲気(熱気に近いでしょうか)を帯びてきました。

 

到底まとめきれるものではないのですが(すみません、、まとまらないにもほどがありますが・・)、上記投げかけの本質は、目の前や表層の現象だけにとらわれず真意(原理)を追求できる人になってほしい(中高校時代の「探究活動」の重要性と目的誤解への懸念から)という彼の思いでした。また、同様に「本質」という観点から、英語を話せる力はもちろん大事だが、日本語ですら話せるものがないのに英語を学ぶとは・・?と、まさに本研修でも他国の方と対峙する際に強烈に感じている、突きつけられていること、海外での場面のみならず、これからの学習全てにおいても考えさせることばであったと感じます。

 

両ゲストによるセッション時間およそ2時間30分、まさにあっという間ではあったものの、生徒個々に強烈なインパクト、自分を変える何か「ヒント」のようなものを得た時間となったのではと強く感じます。

 

夕食時間は、スペインからの生徒たち(本日が最後の滞在です)とともに、ピザを楽しみました。いつしか、前橋高校生徒からのキーボード演奏やマジックやジャグリング披露、お土産等を介しての文化紹介のスペースに、意欲的に関わろうとする姿は昨日とは別グループのような雰囲気にも感じました。また一方では、そのながれに入れない姿数名も、すでに周囲との差への焦り、自分自身への葛藤など、見えてきているようです。